未来のために今できること

理事長所信

堀 哲也

【はじめに】

函館には魅力のある観光地や多くの人の舌をうならせる食材といった多くの資源があり、気候も穏やかで、大きな自然災害も多くはなく、毎年発表される住みたい街ランキングや訪れたい街ランキングでは上位に位置しており、日本全国民から憧れられる街であることは間違いありません。しかしながら、函館に住まう人々の中で魅力に気付くことができないが故に、この街に対しての不満をもつ人が少なくないのも事実であります。このギャップを埋めることが今後の函館にとっての課題であり、これからの函館の発展にかかせない大きなテーマであると考えます。
「日本最古」「北海道最古」「北海道唯一」と冠するものが多い函館は、先人たちの先駆け の精神によって形成されており、その精神は今も住民のDNAに深く刻まれているはずであり、それを受け継ぎ、未来へつなげる使命があります。
2024年の函館は、フランスの名門ワイナリーの進出や、日本で初めてモルックの世界大会開催、人気アニメの映画の舞台に選定される等々、国内外での注目を集めている都市であります。私たちJCI函館が、この注目が集まるタイミングを契機と捉え、先駆けていろいろなことに挑戦をし、精いっぱい行動することで、それが多くの人々の目に映り、心に響き、さらなる共感が大きなうねりとなり、広く伝播し、地域の発展に寄与します。

函館をより魅力的な場所にし、地域社会の課題を克服し、未来への道を切り拓いていきます。

【広報の存在意義と再構築】

私たちは常に社会への貢献と会員の成長と発展を追求し、その一環として広報活動が重要な役割を果たしています。広報は、私たちの使命や価値観を広く伝え、新たなメンバーや協力者を引き寄せ、コミュニティとの連携を強化するための重要なツールです。
近年では様々な広報媒体が増え、媒体によってメインターゲットが異なっており、どの媒体を使って、どのような広報活動を行うのかが肝要です。青年会議所の広報も然り、事業を行う際、会員拡大をする際等、ターゲットを想定し、誰に何を届けたら有効かつ効率的なのかを定めなくては、労力に見合うことのなく効果の少ない広報活動となってしまいます。届けたい情報をターゲットに確実に届けるために、綿密な広報計画を立てる必要があります。一過性の広報とならない連続した広報活動を行ってまいります。

【未来へつなぐ会員拡大】

私たちの使命を達成し、社会に大きな影響を与えるためには、会員の数を拡大することが喫緊の課題です。人口減少、少子高齢化、若者の流出・・・とネガティブな話題が多い函館ですが、それでも地域のリーダーたる青年会議所はその火を絶やさないためにも、会員拡大を行っていかなければいけません。会員拡大は、私たちの組織が持つ可能性を最大限に発揮するための不可欠なステップであり、私たちの組織が成長するにつれて、社会への貢献も拡大します。新しいメンバーを受け入れ、彼らと共に未来を築くことで、私たちはより強力で 意義あるコミュニティを構築し、変革の先頭に立つことができます。

例年、会員拡大リストには100名ほどの候補者の名前が記載されており、これを有効活用していく必要と、さらなる会員拡大の手法を探る必要があります。数年前に日本青年会議所が調査をした際には、人口1000人当たり1人が会員であることが適正人数であるとされています。私たちにはかなりのポテンシャルが秘められていることを感じながら、今一度、なぜ会員拡大が必要なのか、青年会議所とはどんな組織なのかを再確認し、会員拡大に向けた有益な情報を得ながら、広く会員拡大をしてまいります。

【地域の宝を育む】

青少年は明るい未来の宝であり、私たちの役割は彼らが健康で幸福な人生を築く手助けをすることです。青少年育成に焦点を当て、青少年が健全に成長し、夢や希望を自由に描けるような地域づくりをすることで、社会に対しての責務を果たします。
子どもたちの未来には多くの可能性が秘められております。その可能性を無限大に広げるには、地域や街ぐるみで子供たちを心身ともに健全な育成することが重要であるといえ ます。肉体的、精神的、社会的な健康は幸福な生活の要であることから、私たちは青少年に健康的なライフスタイルを促進し、ストレスやメンタルヘルスの問題に対処する支援を提供します。

また、近年では以前に比べ、様々な能力が低下しているといったデータもあり、学校教育では学べない部分の補完こそが我々の役目ではないでしょうか。青少年育成への献身と情 熱を持ち、次世代がより明るく、力強い未来を築くために、多様性を重んじ、創造性を持つ子どもの育成につながる運動を展開してまいります。

【地域の未来を考える】

人が生きていく上で一番大事な要素は健康です。この健康に対する価値観が、現代社会の忙しさによりしばしば軽視される傾向にあります。日々の生活の中で、仕事や他の優先事項に追われ、適切な栄養や運動、休息の確保が難しくなりがちです。しかし、この状況を放置することは、個人だけでなく社会全体にも影響を与えかねません。この状況を改善し、健康を促進し、社会全体の幸福度を向上させることが私たちの責任であると考えています。

近年、健康への関心が高まり、その重要性が再評価されています。特に、地域社会において住民の健康を考えることは、その地域の未来を築く上で極めて重要です。函館近郊は海の幸や山の幸に恵まれ、多様なスポーツ施設が存在しており、地域の魅力の一部でありながら、心身ともに健康でいられる土壌が整っていることを示唆しています。

私たちは、社会全体の健康を増進させ、次世代に持続可能な未来を提供することで、地域 社会において健康に対する意識を高め、活気ある街を作り上げます。地域のリソースを最大 限に活用し、健康なライフスタイルの普及を促進することで、地域社会全体が成長し、繁栄することから、健康について意識が高い街を創造いたします。

【運営基盤の最大化】

日頃、私たちは会議を通して街づくり、人づくりをしております。逆を言えば、会議がしっかりと行われなければ、私たちは何もできません。会議こそが私たちの運動の根底であり、有意義な討論の場が必要とされます。70余年にわたり明るい豊かな社会の創造に向けて 運動を展開してきた諸先輩方が築き上げてくださった歴史と伝統を尊重しつつ、取り入れられるものはなんでも取り入れ、使えるものはなんでも使うといった、厳格でありながら、柔軟な組織運営を目指してまいります。また、会員間はもちろん、他会員会議所との連携や交流を深めながら、JCI函館の組織力の最大化を目指してまいります。

【最後に】

私たちは幸運なことに、何かに脅かされることなく、何不自由なく暮らすことができ、また、人に羨ましがられるような土地に住み、それでもJAYCEEとして常に何が必要か、何ができるかを検討し、日々研鑽し続けることが、私たちの使命であると考えます。私たちは単なる観察者ではなく、変革の推進者であり、行動家です。私たちが住まう街を1mmでも前進させるべく、地域社会に持続可能な変化をもたらすために、青年らしい発想と行動力をもって運動を展開してまいります。

私たちは共に努力し、共に成長し、共に成功することを信じ、青年会議所の志と決意に背を向けず、一緒に前進し、より良い未来を築くために尽力いたします。

大凡世間の事物、進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。進まず退かずして潴滞する者はあるべからざるの理なり。(福沢諭吉「学問のすゝめ」より抜粋。)